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現代日本に蘇るいにしえの祭儀! 古代ギリシャナイトを徹底レポート≪前編≫

以前noteに書いていた記事を移転し、再編集しました。あんまり何個も管理するの苦手なんです……!

それでは、2016年5月にタイムトリ~ップ!

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去る2016年5月15日(日)、いつにも増してTwitterで異常なほど呟いていた私。何が私にあれほど狂気的に呟かせたかというと……古代ギリシャナイトが開催されていたからなのです!

私が何度も何度も何度も何度も「#古代ギリシャナイト」とハッシュタグを付けて呟いていたので、「古代ギリシャナイトって何?」という問い合わせがチラホラ……。そこで、何も知らない人にも超絶推しているこのイベントのこと、私なりに紹介させていただきます。これを読んで興味を持ってくれたら嬉しい限りです!

 

始まりはTwitter

古代ギリシャナイトとは一言で表してしまえば、Twitter発・古代ギリシャを食べて聞いて歌って楽しむイベントです。

古代ギリシャ神話を研究し、古代ギリシャの神・アポロンへ一生分の愛を注ぐ藤村シシンさんと、そのご友人でよく藤村さんと古代ギリシャ関連の熱く知的な会話を繰り広げている黒川巧さん、星彦さんなどTwitterの有名人たちで結成された“藤村一味”という一団が始めたイベントで、古代ギリシャ料理を食べ、藤村さんが研究されたサブカルちっくな抱腹絶倒古代ギリシャ談義を聞き、みんなで古代ギリシャソングを歌い……など、とことん古代ギリシャを楽しむ盛りだくさんな内容なのです。2015年5月に第1回、10月に第2回が開催され、15日はその3回目のイベントでした。

このイベントのことを知った瞬間、「何が何でもチケット取ったる!」と意気込みましたが、なんと、

チケットは2分で完売。

……大人気なのです! サブカル系イベントと侮るなかれ。大人気なのです!

でも会場に行けない方もご心配なく、会場からのUstream生中継が見られます。という訳で、私は今回のイベントを自宅PCから一人熱狂して見守っていたのでした。

古代感満点の寸劇でスタート

古代ギリシャナイトの会場はお台場の東京カルチャーカルチャー

強制ではありませんが、参加者には一応ドレスコードがあり、古代ギリシャ風の白い衣装で来る方が多いです。白装束で埋め尽くされた薄暗い会場に、定刻になると聞こえてくるのは……古代風の歌。

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妖艶な歌と舞、合唱と共に入場してきたのは、古代ギリシャナイトの主催者の皆様。古代ギリシャの伝説に登場する大蛇ピュトンに扮した俳優のふたばさん、その大蛇を倒した古代ギリシャの神アポロンに扮した藤村シシンさんらが、さながらミュージカルのごとく大蛇vsアポロンの戦いの様子を音楽と演技で表現します。

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ちなみに歌は「ヒエーヒエー パイエーオン!ヒエイ・ベロス!」と古代ギリシャ語で歌っており、ピュトンを倒そうとするアポロンへの応援歌です。

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※この劇は古代ギリシャ神託所・デルフォイの伝説に由来するものです。

古代ギリシャでは国家間の戦争から個人的な悩みまで神に伺いを立てる神託(今で言う占いのようなもの)が一般的に行われており、あらゆる神託所の中でも最高位に位置したのがデルフォイでした。デルフォイはもともと大蛇・ピュトンが主神でしたが、デルフォイの主神の座を奪取しに来た太陽神アポロンによってピュトンは討たれてしまいます(上の写真は2神の戦いの様子を再現)。

しかしアポロンはピュトンを殺したことにより“死の穢れ”を清めなければならず、聖なる地・デルフォイの主神としてすぐに戴冠することはできなかった……というのがこの冒頭の劇の主な内容です。

このイベントスタート時の演出、前2回も違う内容で行われているのですが、今回はふたばさんの歌がぞっとするくらい妖艶で、会場全体を一気に古代ムードに染め上げていました。毎回演出により磨きがかかり、クオリティがぐんぐん上がるので見逃せないポイントです!

古代にもSNSが!?

寸劇が終わると「ということでー」と主催者・藤村さんが話し始め、古代感ムンムンだった会場の空気を良い意味で現実に引き戻してくれます笑。ここから藤村さんを中心としたトークライブが始まります。

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ドリンクが揃うとまずは乾杯。掛け声も勿論古代ギリシャ式。藤村さん(上写真右)の「この場にいる者は誰か!」という問いかけに、「善良なる市民!」と一斉に答えて乾杯する会場の方々&Ustreamを見ているTwitter民(私含む)。この瞬間、#古代ギリシャナイトのTLには恐ろしい数の「善良なる市民!」ツイートが飛び交います。

 

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トークには藤村さんと、藤村さんがよく出演されているTV番組「真夜中のニャーゴ」でMCをされているBL研究家・社会学者の金田淳子さん(上写真左)が登壇。金田さんが持っているアポロン応援うちわを「石板」と表現したり、会場のドリンクを「大蛇ピュトンを倒した時の血」と言ったりと、古代ムードを裏切らない演出がにくいです!

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まずは藤村さんより新規の人にもわかりやすいよう、神・アポロンの紹介から。今回のイベント、わかりやすいように「古代ギリシャのイベント」とざっくりと書いてしまっていますが、実はこの古代ギリシャの神・アポロンデルフォイの主神として戴冠した戴冠式を再現するアポロン戴冠祭(ステプテリア祭)という、実際に古代ギリシャで行われていた祭儀を再現することが主題なのです。つまり、主役は藤村さんが溺愛するこのアポロンアポロンのことを説明しなければ全ては始まらないという訳です。

ここで登場するのが、古代ギリシャの詩人・ホメロス。世界史の教科書にも出てきた超有名なこの人が、著書の中でアポロンのことを記述している箇所があるのですが、藤村さんはただ引用するだけでは終わりません。

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ホメロスTwitterが登場しました!!!!!!

会場はもう騒然(笑)。フォロワー数、リツイート数がもう人間技ではない相当数いるのです。よ~く見ると芸が細かいのもポイントです。

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さらに、冒頭で戦ったアポロンと大蛇ピュトンのやりとりもTwitterで表現!

アポロンが呟く「デルフォイにゅん」の「にゅん」は古代ギリシャ語で「なう」を意味するという、またまた芸が細かいポイント!

このようにTwitterに載せて、現代っ子も共感できるようネタ化してしまうこのプレゼン方法、脱帽です。

ちなみに以前のイベントでもアポロンと、アポロン神託を伺いに来た人間との対話の様子をLINEで表現した回があり、私はこのLINEの表現も大好きです。(このLINEは今回も登場! 既読は「神話上」になっていました笑)

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古代中国の帝、現る

冒頭で大蛇ピュトンを殺し、死の穢れを清めるために9年間謹慎しなければならなくなってしまったアポロン。その9年間を待つ間、暇だなー(笑)ということで、トークライブにゲストが加わります。

今回のゲストは、三国志をテーマにしたダンスミュージック制作などをされているおもしろ三国志さん。古代ギリシャ勢に対抗して、古代中国の帝スタイルでドラを叩いて堂々の登場です!

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ここから、古代ギリシャと古代中国との戦争の仕方の違いで議論勃発!

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戦争ではとにかく“勝ち”にこだわる古代中国。奇襲や夜襲なんて当たり前で24時間戦争、宣戦布告なんてない、とさも当たり前のように話す三国志さんに、藤村さん「ブラック企業じゃないですか!」「古代中国、卑怯!」と会場の笑いを誘います(笑)。

かたや古代ギリシャは相手を蹴散らせられればOKという、ライトな戦争スタイル。戦争する国同士、互いに開戦する日時を決め、宣戦布告し、同じ陣形ファランクスを組んで戦うという、古代中国に比べるとなんだか生ぬるい感じの戦争。「古代ギリシャは勝つことに対してどう思ってんの!?(怒)」と三国志さん。(笑)

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そんな議論をなんやかんやと交わした後、何故か始まる三国志さんのライブ!!(笑) 三国志さんの持ち歌「董卓討つベし」のライブがスタート!(董卓とは古代中国・後漢の時代の武将。)「討つべし!討つべし!」と歌いながら藤村さんに迫る三国志さん笑。

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董卓董卓董卓!」「討つべし!討つべし!討つべし!討つべし!」のコール&レスポンスで会場は大盛り上がり。三国志さんは散々会場を駆け回った後、「董卓討ってくる!」と言って一旦退場(笑)。藤村さん、金田さんも一緒に退場し、会場は10分間の休憩に。

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休憩中には藤村一味のお一人・黒川巧さん(の依り代のカラス。残念ながらご本人は会場にはいらっしゃらないのです)が人気を集め、続々と写真を撮りに来る人が。ワイプではアポロンも抜かれています!

休憩中の様子もそのまま配信されているので、会場の空気感がこんなところまで伝わってくるところが好きです。さり気なく冒頭の劇に出てきたピュトンの歌がBGMとして流れており、休憩中も世界観を崩さない工夫がGOODです!

古代ギリシャの卑怯(?)戦術

休憩後には藤村さんから古代ギリシャ選りすぐりの卑怯戦術のご紹介。古代中国をあれだけ卑怯、卑怯と言っておきながら……笑!! しかし、その戦法は「ん?卑怯?」と疑問符がつくもの。

戦術①前髪を切れ!

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会場がどよめき、「は!?」と理解できないご様子の三国志さん(笑)。

前髪が長いと敵に掴まれてしまうという説があり、オンザ眉毛の前髪パッツンの兵士がいたのだとか。古代ギリシャの伝説に出てくるテセウスという英雄もこの髪型だったのだとか……。

戦術②戦闘中に冠をかぶる

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またまた会場がどよめき、三国志さんさらに理解できないご様子(笑)。

古代ギリシャでは冠をかぶれば儀式っぽくなって戦争ムードではなくなり、相手が手を出してこなくなるという戦法。確かに神殿に逃げた人に手を出してはいけないなど、聖なる領域を犯してはいけない暗黙のルールもあるのでそれに似てるなーと思い、これは私もちょっと納得しかけましたが、「戦争なの!(怒)」と激おこな三国志さんの言葉に、やっぱり古代中国の方が理にかなってるかも……と思い直してしまいます(苦笑)。

戦術③男同士で手をつなぐ

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この話題にBL研究家の金田さん、テンションアップ! これまでにない前のめりっぷりです!笑

なんでも裸一貫の男同士が森に入り、手をつなぎ、「これからは仲良くしよう」と誓いを立て合うのだとか……そんなんで戦争なくなるかー! という反論よりも、会場中がBL系話題に色めきたち、一気にこれまでにない盛り上がりを見せます!!

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黒川さん(の依り代)と戦術③を試す三国志さん笑。心は通じ合ったのでしょうか……?

その後は会場から回収したアンケートへいくつか藤村さんが答え終えた頃、「そろそろ9年経ったんじゃない!?」とアポロン戴冠祭の再現がスタート。

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アポロンに扮した藤村さん始め、音楽隊のご一行が再入場し、アポロンデルフォイの主神として戴冠して祭儀は終了。会場全員で「アポロン讃歌」という古代の歌(欠けていた箇所は一部現代アレンジ入り)を歌ってイベントが締めくくられます。

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実はこのイベント、上に紹介していたのは昼の部で、今回は夜の部もあったのです! という訳で、後編へ続きます~。