いがログ。

歴史を愛するライターの”仕事と日々”。

感謝しているが、それでも大変だった。編プロ時代を振り返る

23時30分。

社内に電話が鳴り響き、誰かが1コール終わらない内に条件反射的に電話を取る。社員用の机にはほぼ全員が座っている。室内には煙草のにおいが立ち込め、髪や服にまとわりつく。今にも眠りそうな新人と、それを横目で睨む先輩社員。「お前なんか辞めちまえ!」と廊下から響く怒号。触らぬ神に祟りなし、何も見えない聞こえないふりをして黙々と仕事を続ける社員。

これが、数か月前までの私の日常でした。

これから数回に分けて、私が編集・ライターとしての基礎を築き(叩き?)上げた激烈で珍妙な体験の数々を振り返りたいと思います。以前もnoteに書いていて意外と好評だったので、こちらに移動して再編集することにしました。今後編集者・ライターを目指す方々は、「こんな世界もあるんだなぁ」と参考程度に目を通していただければ幸いです。

フリーライターとして活動を始める以前は、編集プロダクションという出版社から雑誌や書籍の編集・制作を請け負う会社に勤めていました。この編集プロダクションという場所は仕事のスタイル柄、薄給激務の傾向があるといわれており、私の勤めていた会社も例外ではありませんでした。(全ての会社がそうとは限りません。会社によってワークスタイルも風通しの良さも異なります)

f:id:igacham:20170201180740j:plain

※イメージ

 

ただ、冒頭に「THE!ブラック企業!」といった描写をしており、それは決して誇張でもなくリアルな出来事だったのですが、私はこの会社には感謝しているのです。一応。

何も知らない未経験の私に、猛烈に忙しい中で一から仕事を教えて下さいました。特に企画・リサーチ~掲載許可・取材アポ~取材・撮影~原稿作成~校正~校了まで一連の流れを紙・ウェブ問わず様々な媒体で経験できたことは大きいです。

また、学生時代は本当に世間知らずの極甘ちゃんでしたが、この会社の独特の環境の中で根性がバシーンと叩き直され、表情もいくらか引き締まり、社会人的な立ち居振る舞いも身に付けられました。

いわば、車の免許合宿的なものだったのではと思います。朝も夜もなく一気に詰め込む分キツいのですが、短期間で基礎的なことを学べました。

会社に入ったばかりの頃や、本当に業務が立て込んでいる時期はこんなことは考えられませんでした。ただただ、会社の独特すぎる社風やどんどん降ってくる仕事に疲弊していて、踏ん張るのが精一杯で、会社の経営陣や上司に憎々しい視線を送っていました。

しかし最近になって、喜びや嬉しさを求めるのなら、その背後に必ずセットになってついてくる苦しみも一緒に受け入れなければならないのだという当たり前のことにようやく気付き、自分の過ごしてきた時間に意味を持たせることができるようになりました。

あの会社にはきっとこれからも心から共感できることはないと思いますが、社会に出て編集・ライターとして働いていく基礎を築くことができたという、ポジティブな面に感謝しているのです。

その感謝の気持ちを踏まえた上で、数ヶ月前までほとんどの時間を過ごしてきた場所の話を順次更新していきます。各回それなりに長くなりますので、今回はここでひとまず区切ります。

全ての編集プロダクションがこんな状況ではありませんが(むしろかなり特殊な会社だと思います)、編集・ライター界の片隅にこんな会社もあるんだなぁと思って読んでいただけたら幸いです。